麻雀にはさまざまな役・用語があり、それらの意味や成立条件をきちんと覚えていなければ、麻雀で勝つことは難しいでしょう。
そんな麻雀の役のひとつに、「槍槓(チャンカン)」と呼ばれる役があります。
槍槓は一般的な役と比べると実戦で目にする機会は少ないですが、実際に槍槓を狙えるようなシチュエーションに遭遇した際にアガれるように、成立条件を把握しておかなければなりません。
本記事では、槍槓の成立条件や複合しやすい役などを説明します。
併せて、槍槓に関する注意点や槍槓をアガるために意識すべきポイントなども説明するので、麻雀が強くなりたい初心者の方は、ぜひ参考にしてください。
麻雀の槍槓(チャンカン)とは?
槍槓には「槓」という文字が使われており、これは「暗槓」や「明槓」に使われている文字でもあります。
そのため、鳴きの「カン」に関係する役なのかと推測されますが、実際のところはどうなのでしょうか。
槍槓について、以下で詳しく説明します。
槍槓(チャンカン)は麻雀の役のひとつ
槍槓とは、他家が加槓しようとした牌でアガることで成立する1翻役です。
それ以外に条件は設けられておらず、牌姿に関する条件もありません。
加槓が発生するためには何らかの牌をポンしている他家が、ポンしている牌を自分でツモってこなければならないため、かなり特殊で偶発的な役です。
成立条件
槍槓が成立する条件を、以下で見てみましょう。

上の牌姿は、「カン5筒」でテンパイしている状態です。
この牌姿では役は何も成立していないため、リーチをかけない限り他家から5筒が切られたとしてもアガることはできません。
しかし、すでに5筒をポンしている他家がおり、その相手が4枚目の5筒をツモってきて「カン」を宣言した瞬間に「槍槓」が成立してアガることができます。
5筒をポンしている他家が4枚目の5筒をツモってきても、カンせずに河に捨ててしまった場合は槍槓は成立しないので、ロンできません。
麻雀の槍槓(チャンカン)が発生する確率
槍槓が発生する確率は、「0.05%」程度といわれています。
2,000局に1局程度しかアガれない役と考えると、それなりに低い確率であることがおわかりいただけるのではないでしょうか。
ちなみに、同じ1翻役である「平和」と「一盃口」の出現確率はそれぞれ「約20%」と「約5%」で、槍槓と同程度の出現確率なのは、役満の一種である「四暗刻」です。

麻雀の槍槓(チャンカン)と複合しやすい役
槍槓は偶発的な役であり、牌姿もとくに定められているわけではないので、複合しやすい役があるわけではありません。
ただし、七対子や対々和などとの役とは複合しません。
七対子や対々和をアガろうと思うと、2枚もしくは3枚の同じ牌のセットが手牌にある必要があります。

たとえば上の牌姿は七対子のテンパイ形であり、待ち牌は「1索」です。
このとき、仮に1索が加槓されることがあれば、「七対子、槍槓」でアガることができるでしょう。
ただし、1索がカンされるためには、すでにほかの対局者が1索をポンしており、そこに4枚目の1索をツモってこなければなりません。
自分の手に1索がすでに1枚ある以上、1索をポンしている対局者が4枚目の1索をツモってくるのは、理論上不可能です。
同じことが対々和にも当てはまるので、槍槓は七対子や対々和とは絶対に複合しません。

麻雀の槍槓(チャンカン)に関する注意点
槍槓はかなり特殊な役なので、成立条件をきちんと覚えておくとともに、狙う際の注意点も把握しておかなければなりません。
麻雀の槍槓に関する注意点を、以下で説明しましょう。
大明槓や暗槓ではできない
麻雀には、「暗槓」「明槓(加槓)」「大明槓」の3種類のカンがあります。
暗槓は4枚とも自分でツモってきた牌をカンすること、明槓(加槓)はすでにポンしてある牌の4枚目をツモってきてカンすること、大明槓は手牌に3枚ある牌の4枚目が他家によって切られたときにカンすることを、それぞれ指します。
このうち槍槓が成立するのは明槓(加槓)の場合だけで、暗槓や大明槓に対して槍槓は成立しません。
ただし、国士無双をテンパっている場合のみ、暗槓に対しても槍槓が成立する場合があります。
これに関しては取り決め次第なので、「国士無双での暗槓に対する槍槓アガりはありかどうか」は対局が始まる前に確認しておいたほうが良いでしょう。
同順フリテンに注意する必要がある場合もある
麻雀のルールのひとつに、「当たり牌が河に切られた際にアガらなかった場合、次の自分のツモ番が来るまでは再び当たり牌が切られてもロンできない」という「フリテン」というルールがあります。
麻雀を打っている人なら当然のように知っているルールだとは思いますが、このフリテンのルールは槍槓にも適用されます。
つまり、加槓した牌が当たりにも関わらず何らかの理由(点数条件がありカンした人以外からアガりたいなど)で見逃した場合、次に自分のツモ番が来るまでは当たり牌が切られてもロンできません。
ツモってきた牌が河に捨てられていれば、フリテンかどうかは目で見てわかりやすいですが、カンをした場合、その牌は河に切られません。
そのため、フリテンかどうかの判断が一瞬難しくなりますが、ルールとしてきちんと判断しましょう。
三人麻雀の抜きドラに対しては適用されない
三人麻雀では、「北」が抜きドラとして採用されるのが一般的です。
「北」を抜く場合、自分から見て手牌の右手前のほうに抜くのが普通ですが、この動きは加槓する際の動きによく似ています。
そのため、抜いた「北」に対して槍槓が適用されると勘違いしてしまう方もいるようですが、「北」を抜く行為と加槓はまったくの別物なので、抜いた「北」に対して槍槓でアガることはできません。
ただし、これも「国士無双テンパイ時の暗槓に対する槍槓アガり」と同じように、取り決め次第ではアガれる場合もあるので、三人麻雀を打つ場合は事前に確認しておくのが賢明でしょう。

麻雀で槍槓(チャンカン)をアガるために意識すべきポイント
槍槓はかなり特殊な役ですが、意識しておくことでアガりやすくなるようなポイントもあります。
麻雀で槍槓をアガるために意識すべきポイントを、以下で説明します。
基本はダマテンで狙う
麻雀の牌は1種類につき4枚しかないため、誰かがすでにポンしている牌に関しては、残りの山に多くても1枚しかありません。
「特定の人が多くもっている牌は他の人の手牌にある可能性が低い」=「テンパったときにそこが待ちになる可能性が高い」というのが麻雀の基本的な考え方です。
そのため、たとえば「6筒」がポンされている状態で「3-6筒」や「6-9筒」の待ちでリーチをすると、「6筒の筋が危ない」と警戒されて、「6筒」をポンした相手が「6筒」をツモってきたとしても加槓してもらいにくくなります。
役がなくてリーチをしなければならない場合はしょうがないですが、そうでない場合はダマテンでこっそり狙うのが、槍槓でアガりたい場合の基本的な姿勢といえるでしょう。

上の牌姿の場合、待ちは「2-5筒」で「タンヤオ、平和」という役があるので、ダマテンでもアガることが可能です。
そのため、「2筒」もしくは「5筒」がポンされている場合はリーチをかけずに、「2筒」もしくは「5筒」をポンしている相手が加槓することを祈りましょう。
そうすれば「タンヤオ、平和、槍槓」の3翻の役をアガることができます。
意表を付くならリーチもありだがリスクがあることには注意
上述したように、「誰かがポンしている牌はほかの人の待ちになる可能性が高い」というのは、ある程度の麻雀歴がある人であれば感覚として把握していることです。
そして、「ポンされている牌の筋が待ちになるような状態ではわざわざリーチをかけてこない人が多い」というのも、多くの人が経験として知っています。
そういった知識や経験を逆手に取るのであれば、ポンされている牌の筋の待ちのときに敢えてリーチをするのも、ひとつの戦法といえるでしょう。
ポンをして手牌を短くしている人は、その局は前のめりに参加してくる可能性が高いですし、加槓は裏ドラを見れない人が手牌の価値を高くする数少ない行動のひとつでもあります。
「わざわざポンされている牌の筋で待っているときにリーチしないだろう」という相手の隙をついて、高打点でアガれるかもしれません。
ただし、ポンされている牌の筋が待ちになっている以上、通常よりもアガりにくくなっていることは事実です。
手が整っている他家に押し返されて振り込むことになるかもしれないというリスクがあることは、念頭に置いておきましょう。

麻雀の槍槓(チャンカン)に関するよくある質問
槍槓は、「平和」や「対々和」といった出現頻度の高い役と比べると目にする機会が少ない役なので、槍槓の細かい知識についてきちんと把握できていない人も多いです。
以下では、槍槓に関するよくある質問にQ&A形式で回答していきますので、槍槓に関して詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
「槍槓」と「搶槓」はどちらが正しい表記?
「搶」という漢字には「奪い取る」という意味があり、「搶槓」で「他家がカンした牌を奪い取る」=「他家がカンした牌でアガる」というニュアンスになります。
そのため、「チャンカン」の正式な表記は「搶槓」だと考えられていますが、現在では「手へん」ではなく「木へん」の漢字を使って、「槍槓」と表記するのが一般的です。
どちらの漢字を使っても「チャンカン」の表記として問題ないことは、覚えておきましょう。
槍槓でアガったときに新ドラは増える?
暗槓でも明槓でも大明槓でも、カンをすると新ドラが増えます。
しかし槍槓は、他家がカンしようとした牌に対してロンをするため、カンという行為自体が成立しません。
そのため、槍槓でアガったとしても新ドラが増えることはありません。
- 槍槓でアガったら一発は付く?
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リーチしてから自分の最初のツモが回ってくるまでにアガると、「一発」という役が付きます(ロンの場合は一発ロン、ツモの場合は一発ツモ)。
しかしこの一発という役は、鳴きが入ると成立しなくなるという特徴があるので、リーチ後にポンやチーをされると一発という役でアガる権利はなくなります。
同じことがカンに対してもいえて、リーチ後に暗槓や大明槓が発生すると、その時点で一発がなくなることはおわかりいただけるでしょう。
ただし明槓だけは話が別で、先ほど触れた「新ドラは増えるか」の考え方と同じで、槍槓が発生する以上、カン自体が成立しないことになります。
そのため、鳴きの前にアガれることになるので、槍槓と一発は複合する場合があります。
- 槍槓と四槓流れはどちらが優先される?
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「四槓流れ」とは、同一の局において複数の対局者によって合計4回のカンが行われた場合に、その局を流局とするという特殊ルールです。
すでに3回カンが行われている状態で4回目のカンが明槓によって行われ、そのカンに対して槍槓によるアガりが発生する場合、槍槓と四槓流れはどちらが優先されるでしょうか。
これに対する答えも上2つの質問に対する答えと同じで、「槍槓が発生する以上、カンは成立しない」と考えればわかりやすいです。
槍槓が発生するのはカンが成立する前なので、場のカンは計3回でストップすることになり、四槓流れは発生しません。

チャンスがあれば麻雀で槍槓(チャンカン)を狙ってみよう
槍槓はかなり偶発的な役であり、平和や三色同順などの一般的な役とは異なり狙ってアガるのはほぼ不可能ですし、確率の低さと1翻という翻数を考慮すると、わざわざ狙ってアガる役ではないともいえます。
ただし、牌姿に制限や条件はありませんし、他家がポンしている牌の4枚目が見えていない状態であれば、常にアガるチャンスがある役であるともいえます。
麻雀に慣れていない方だと、「他家からロンできるのは河に捨てられた牌だけ」と思い込んでしまい、槍槓のチャンスを逃してしまうかもしれませんが、それはとてももったいないといわざるを得ません。
槍槓は、加槓をして前のめりに参加しようとしてくる相手に対してカウンターを食らわせるような役であり、決まるととても気もちがいいです。
槍槓の成立条件をきちんと把握して、麻雀の対局のなかで槍槓を狙ってみましょう。