麻雀には多くの役がありますが、その中のひとつに「二盃口(リャンペイコウ)」と呼ばれる役があります。
二盃口は、平和やタンヤオといったメジャーな役と比べると比較的出現率の低い役です。
ただし、どのような条件で成立するのかを把握しておかなければ、狙える牌姿をもらったとしても狙うことはできません。
本記事では、二盃口という役の成立条件や発生確率、複合しやすい役などを説明します。
併せて、二盃口を狙ってみてもよい場面や狙うときの注意点についても説明するので、麻雀を始めたばかりでまだ役のことをあまりわかっていない初心者の方は、ぜひ参考にしてください。
麻雀の二盃口(リャンペイコウ)とは
麻雀にはさまざまな役がありますが、すべての役についてきちんと把握しておかなければ、麻雀の成績や勝率を上げることはできません。
麻雀の「二盃口」とは何かについて、以下で説明します。
二盃口の成立条件
二盃口は、萬子・筒子・索子で「4-4-5-5-6-6」や「7-7-8-8-9-9」など、同じ形の順子2組を2セット作ることで成立する役です。

上の牌姿の待ちは「6-9筒」ですが、「9筒」でアガると、萬子で「4-5-6」の順子が2組、筒子で「7-8-9」の順子が2組できるので、二盃口が成立します。
一方、もう片方の待ちである「6筒」でアガると萬子で「4-5-6」の順子2組は成立しますが、筒子の形が「6-7-7-8-8-9」となるので、二盃口は成立しません。
数少ない3翻役のひとつ
麻雀の役にはそれぞれ翻数が決められており、たとえば平和は1翻、対々和は2翻です。
二盃口は3翻の役ですが、麻雀の役で3翻なのは二盃口のほかには面前で進めた場合の混一色と純チャンだけです(どちらも鳴くと2翻に食い下がる)。
比較的珍しい3翻役のひとつなので、翻数を間違えずに把握しておきましょう。
一盃口との違い
「二盃口」という名前を聞いて、「一盃口とよく似ているな」と感じた方もいると思います。
実際に一盃口と二盃口は役の考え方がよく似ており、同じ形の順子2組を1セット作った場合が一盃口で、同じ形の順子2組を2セット作ると二盃口になります。
ここで、冒頭で触れた「6-9筒」待ちの牌姿を「6筒」と「9筒」それぞれでアガった場合の牌姿を、以下に示しましょう。

「6筒」でアガると萬子部分は「4-4-5-5-6-6」で、「同じ形の順子2組」という条件を満たしていますが、筒子部分はその条件を満たしていません。
そのため、上の牌姿では二盃口ではなく一盃口が成立していることになります。

「9筒」でアガると萬子部分は「4-4-5-5-6-6」、筒子部分は「7-7-8-8-9-9」で、「同じ形の順子2組」という条件を満たしているため、上の牌姿では二盃口が成立しています。
一盃口と二盃口の違いは、最終的なアガり形をイメージするとわかりやすいでしょう。
鳴きでは成立しない
二盃口は数少ない3翻役のひとつですが、ほかの3翻役である混一色と純チャンは鳴いても成立します(ただし、どちらも鳴くと2翻に食い下がる)。
しかし、3翻役のなかで二盃口だけは鳴くと成立しなくなります。
そのため、二盃口を狙うためには面前で手を進めなければなりません。
麻雀で二盃口(リャンペイコウ)が発生する確率
麻雀で二盃口が発生する確率は、0.05~0.06%といわれており、1,600~2,000回程度対局して1回アガれるかどうかという役です。
麻雀でもっとも打点が高くアガるのが難しい役である「役満」の一種の四暗刻の発生確率が約0.05%であることを考えると、二盃口の難易度の高さがおわかりいただけるでしょう。
ちなみに、同じ3翻役である混一色と純チャンの発生確率は、それぞれ6%前後と0.3~0.4%程度で、二盃口よりもかなり高いです。
これには、混一色と純チャンが鳴いても成立する役であるのに対して、二盃口は面前でしか成立しない役であることが影響していると考えられます。

麻雀の二盃口(リャンペイコウ)と複合しやすい役
二盃口は成立条件が比較的シビアですが、その形から複合しやすい役もいくつかあります。
二盃口と複合しやすい役を、以下で紹介しましょう。
平和
平和は、面子が全て順子で雀頭が役牌でなく、待ちが両面待ち以上になっている場合に成立する1翻役です。

上の牌姿の待ちは「3-6索」ですが、平和の成立条件を満たしていると共に、「6索」でアガれば二盃口も成立します。

一方、上の牌姿の待ちは「カン3萬」で二盃口が確定していますが、両面待ちではなくカンチャン待ちなので平和は成立しません。
タンヤオ
タンヤオは、字牌と1,9の数牌を除いた2~8の数牌のみで手牌を構成することで成立する1翻役で、鳴いても成立します(1翻なので食い下がりはなし)。

上の牌姿の待ちは「1-4索」で、「4索」でアガると二盃口とタンヤオのどちらも成立します。
一方、もう片方の待ちである「1索」でアガると、二盃口もタンヤオも成立しません(一盃口は成立する)。
チャンタ
チャンタは、頭とすべての面子に少なくとも1枚ヤオチュー牌が入ることで成立する役で、面前なら2翻、鳴くと1翻です。

上の牌姿の待ちは「ペン3筒」で、二盃口とチャンタの両方が成立します。

一方、上の牌姿は先ほどの牌姿とほぼ同じ牌姿ですが、待ちが「1-4筒」になっており、「1筒」でアガると二盃口とチャンタの両方が成立しますが、「4筒」でアガると二盃口もチャンタも成立しません。
先ほども少し触れましたが、両面待ちの場合は二盃口も複合相手の役も成立しなくなる可能性があることには、注意が必要です。

麻雀の二盃口(リャンペイコウ)を狙ってみてもよい場面
二盃口は成立条件が比較的厳しいうえに鳴きでは成立しない役なので、いつでも狙える役ではありません。
麻雀で二盃口を狙ってみてもよい場面を、以下で説明します。
打点が必要なとき
二盃口はそもそもが3翻役であるのと同時に、牌姿の条件からドラを使う場合は必ず2枚使うことになります。
そのため、ドラが含まれれば5翻以上が確定し、リーチをかけるかツモるかすれば6翻以上でハネ満が確定します。
半荘が終盤に差し掛かって着順が沈んでいるときや、オーラスで逆転手が必要なときなど、打点が必要な場合には頼りになる役といえるでしょう。
さまざまな条件がすべてうまくかみ合えば、以下のように高打点でのアガりも可能です。

上の牌姿をリーチしてツモれば、「リーチ、ツモ、平和、純チャン、二盃口、ドラ2」の11翻で3倍満になります。
これほどうまくいく例ばかりではありませんが、打点が必要なときには二盃口を役の候補のひとつとして検討するとよいでしょう。
一盃口がほぼ確定しているとき
二盃口は成立条件がかなり厳しい役なので、局が始まってから数巡経った時点で狙えそうかどうかがある程度判断できます。
二盃口は「一盃口の発展形」と考えることもできる役なので、局の序盤で一盃口がほぼ確定している場合は、一盃口に関与するパーツ以外の手牌を鑑みて、二盃口まで狙えそうかどうかを考えるのがおすすめです。

たとえば上のような牌姿の場合、(今後の手牌変化にもよりますが)萬子部分で一盃口がほぼ確定しています。
このとき、牌姿のほかのパーツを見てみると、筒子部分がうまく構成されれば二盃口まで伸びそうな形になっています。
そのため、このような牌姿のときは二盃口のことを念頭に置きながら手を進めるとよいでしょう。

一方、上の牌姿は萬子部分の形は先ほどと同じなので、一盃口がほぼ確定しています。
しかし、ほかのパーツに目をやってみると、二盃口まで伸ばすのはなかなか難しそうな形であることがわかります。
このような牌姿のときは、無理に二盃口を狙わずに一盃口(+α)でのアガりを目指すのがおすすめです。

麻雀の二盃口(リャンペイコウ)に関する注意点
二盃口は、中打点~高打点が必要なときに狙いたい3翻役ですが、狙うにあたって注意しなければならない点もいくつかあります。
麻雀の二盃口に関する注意点を、以下で説明しましょう。
七対子とは複合しない
二盃口は最終的なアガり形を見ると、「七対子」ともいえる形をしています。

上の牌姿は記事の冒頭で示した二盃口のアガり形ですが、形を見ると「4萬」「5萬」「6萬」「7筒」「8筒」「9筒」「8索」の7種類の牌が対子になっているようにも見えます。
しかし、二盃口と七対子は複合しません。
それは、二盃口と七対子では牌のとらえ方が異なるからです。
二盃口では、牌を「4組の順子+頭」としてとらえていますが、七対子では牌を文字どおり「7つの対子」としてとらえています。
二盃口と七対子は、根底にある考え方が異なる役同士が、結果としてひとつの牌姿のなかで共存している「ように見える」だけです。
そのため、上の牌姿でアガったとしても、二盃口と七対子の両方をアガり役としてカウントすることはありません。
なお、麻雀では「高め取り」の原則があり、アガった牌姿に対して複数の解釈が可能な場合、そのなかで点数がもっとも高くなるものを採用します。
七対子は2翻で二盃口は3翻なので、上の牌姿は二盃口が採用されてのアガりです。
アガり牌によっては成立しない場合がある
両面待ちで二盃口をテンパった場合、アガり牌によっては二盃口が成立しない場合があります。
たとえば、以下の牌姿で考えてみましょう。

上の牌姿は「6-9筒」待ちですが、9筒でアガると筒子の部分が「同じ形の順子」になりません。
萬子の部分が同じ形の順子になっているので一盃口は成立しますが、二盃口は成立しません。
二盃口が3翻なのに対して一盃口は1翻なので、二盃口が成立するかどうかで打点は大きく変わります。
とくに高打点を目指して二盃口を狙っている場合は、二盃口にならないほうの当たり牌が切られたときにアガるかどうか、事前に考えておく必要があるでしょう。
ロンを狙うならダマテンもあり
二盃口はテンパイ形によっては、カンチャン待ちやペンチャン待ちになることもあります。
そのような場合、両面待ちと比べるとアガり率は低くなりますが、両面待ちでのテンパイとは異なり「二盃口が確定する」のが大きなメリットです。
二盃口は3翻の役なのでそもそも十分高打点ですし、ほかの役やドラが絡めばリーチなしで満貫やハネ満になることもあります。
着順を上げるために特定の相手からの直撃条件があるような場合は、その相手からの直撃を狙うためにリーチをせずにダマっておくのもひとつの選択肢といえるでしょう。
七対子との分岐判断は慎重に
先ほども少し触れましたが、二盃口と七対子は形の上ではまったく同じ役です。
そのため、手牌を進行する最中に「二盃口を狙えばよいのか七対子を狙えばよいのか」の判断を迫られることも多々あります。
二盃口と七対子のどちらに進むべきかは、手牌、巡目、場に切られている牌、他家が狙っている(であろう)役などのさまざまな情報を加味して判断しなければならないので、一概にいうことはできません。
たとえば、以下の牌姿で考えてみましょう。

このような牌姿は、二盃口と七対子のどちらに進むかの分水嶺であるような牌姿です。
現在1枚しかない「1萬」「8筒」「9筒」「東」「西」が重なりそうなら七対子の可能性が濃くなりますし、「5索」からの伸びや筒子の上の牌を複数枚引くことが期待できるのであれば、二盃口のテンパイにグッと近付けます。
いずれにせよ、「二盃口と七対子のどちらに進むべきか」の判断に絶対的な正解はないので、対局を重ねるなかで自分なりの判断基準を設け、それに従いながら打つことが大事です。

二盃口(リャンペイコウ)の成立条件を把握して麻雀で狙ってみよう
二盃口は成立条件は比較的厳しいものの、麻雀では数少ない3翻役のひとつなので、打点が必要なときには頼りになります。
鳴くと成立しない役なので必然的に面前で進めることになりますが、リーチやドラ・裏ドラなどが絡むことで、倍満~3倍満でのアガりになることも期待できます。
両面待ちでテンパイすればアガりやすいですが、その場合は二盃口になるアガり牌とならないアガり牌があることに、注意しなければなりません。
ダマテンでテンパイして、着順を競っている相手からロンアガりできるととても気持ちのいい役なので、実践でぜひ狙ってみましょう!