麻雀にはアガるのがとても難しい「役満」と呼ばれる役がありますが、「四暗刻(スーアンコウ)」はそんな役満の一種です。
役満をアガることができれば、圧倒的なラスからでも一気にトップを狙える可能性があるので、狙える配牌をもらえたらぜひ狙っていきたいところです。
本記事では、四暗刻という役の成立条件や発生確率などを説明します。
併せて、四暗刻と複合する可能性のある役満や四暗刻を狙うときの注意点についても説明するので、四暗刻について詳しく知りたい初心者の方はぜひ参考にしてください。
麻雀の四暗刻(スーアンコウ)とは役満のひとつ!成立条件や点数を解説
四暗刻は、手牌の中で暗刻を4つ作ることで成立する役満です。

上の牌姿では、「2萬」「9筒」「6索」の3種類の牌がすでに暗刻になっています。
そのため、「3筒」もしくは「発」のどちらかをツモって暗刻にすることで、4種類の牌が暗刻になり、四暗刻の条件を満たします。
四暗刻は役満なので、アガった場合の点数は親で48,000点(ツモだと16,000オール)、子で32,000点(ツモだと8,000、16,000)です。
カン以外の鳴きを入れると成立しない
四暗刻では暗刻を4つ作らなければなりませんが、暗刻を4つ作るためには手牌14牌のうち3×4=12牌を面前で仕上げなければなりません。
そうなると残りは14-12=2牌になりますが、2牌だけではポンやチーなどの鳴きはできないので、必然的に四暗刻は面前で進めなければ成立しない役満といえます。
唯一四暗刻と共存できる鳴きは「カン」ですが、それも民槓や加槓ではなく、暗槓(カンする4枚の牌をすべて自力で揃える)のみです。
四暗刻を狙うためには他家の捨て牌を活用することはできず、自分のツモのみで手を仕上げなければなりません。
三暗刻との違い
四暗刻とよく似た役に、「三暗刻」と呼ばれる役があります。
四暗刻が「暗刻」を「4つ」作ることで成立する役であるように、三暗刻は「暗刻」を「3つ」作ることで成立する役です。
先ほど四暗刻のテンパイ形として紹介した牌姿を、もう一度示しましょう。

上の牌姿では「2萬」「9筒」「6索」の3種類の牌がすでに暗刻になっているため、三暗刻の条件を満たしています。
そのため、アガり牌の「3筒」もしくは「発」が他家から切られたときにロンでアガれば、四暗刻は成立しませんが、三暗刻は成立します。
三暗刻と四暗刻を区別したい場合は、「自力で暗刻にした牌が何種類あるか」を考えるとわかりやすいでしょう。
四暗刻単騎はダブル役満扱いの場合がある
冒頭で紹介した四暗刻のテンパイ形は、「暗刻が3つ+対子が2つ」の形でした。
しかし、四暗刻のテンパイ形には「暗刻が4つ+単騎」の形もあります。

上の牌姿は、「1萬」「8萬」「7筒」「東」の4種類の牌が暗刻になっており、「1索」の単騎で待っている状態です。
「暗刻が3つ+対子が2つ」の形では、ツモでアガるかロンでアガるかによって、四暗刻が成立するかどうかが変わりました。
しかし、「暗刻が4つ+単騎」の形はすでに四暗刻の条件が成立しているため、ツモでもロンでも役満になり、このような形をとくに「四暗刻単騎」と呼びます。
四暗刻単騎はルールによってはダブル役満になることがあり、ダブル役満になると、子のアガりで64,000点(ツモで16,000、32,000)、親のアガりで96,000点(ツモで32,000オール)です。
麻雀で四暗刻(スーアンコウ)が発生する確率
麻雀で四暗刻が発生する確率は約0.05%といわれています。
2,000回対局してようやく1回アガれるかどうかの発生率なので、出現率はかなり低いといえるでしょう。
ただし、それはあくまでも一般的な役と比較した場合であり、役満の中では四暗刻はかなり出やすい部類です。
同じ役満である「字一色」と「緑一色」の出現確率がそれぞれ約0.01%、約0.001%であることを考えると、四暗刻が「比較的アガりやすい役満」であることがおわかりいただけると思います。
役満は麻雀の役の中でもっとも打点の高い役なので、狙えるチャンスが巡ってきたら積極的に狙いましょう。

麻雀の四暗刻(スーアンコウ)と複合する可能性がある役満
役満は特別な役なので、一般役とは複合しませんが、役満同士であれば複合して点数計算を行います。
四暗刻と複合する可能性がある役満を、以下で紹介しましょう。
大三元
大三元は、「白」「発」「中」の三元牌をすべて刻子または槓子で揃えることで成立する役満です。

上の牌姿の待ちは「2索」「白」で、どちらの牌でもツモってアガれば四暗刻が成立しますが、とくに「白」をツモれば、四暗刻と大三元が複合します。
ロンのときは「白」なら大三元のみ成立して、「2索」なら大三元も四暗刻も成立しません。
四暗刻と大三元が複合する可能性のある牌姿では、アガり牌やアガり方によって役および点数が大きく変わるので、注意が必要です。
字一色
字一色は、手牌を風牌と三元牌のみで構成することで成立する役満です。

上の牌姿の待ちは「北」「白」で、どちらの牌でもツモってアガれば四暗刻と字一色が複合します。
ロンでアガる場合は四暗刻は成立せず、字一色のみのアガりです。
清老頭
清老頭は、手牌を萬子・筒子・索子の1,9牌のみで構成することで成立する役満です。

上の牌姿の待ちは「1筒」「1索」で、どちらの牌でもツモってアガれば四暗刻と清老頭が複合します。
ロンでアガる場合は四暗刻は成立せず、清老頭のみのアガりです。
清老頭は手牌で使える牌の種類が6種類ととても少ないので、役満のなかでもアガるのが難しい役といえます。
緑一色
緑一色は、「2索」「3索」「4索」「6索」「8索」「発」という「緑色だけの牌」だけで手牌を構成することで、成立する役満です。

上の牌姿の待ちは「6索」「発」で、どちらの牌でもツモってアガれば四暗刻と緑一色が複合します。
ロンでアガる場合は四暗刻は成立せず、緑一色のみのアガりとなります。
小四喜・大四喜
小四喜は、「東」「南」「西」「北」の4つの風牌のうち3つを刻子または槓子にし、残りの1つを頭にすることで成立する役満です。
大四喜は、「東」「南」「西」「北」の4つの風牌すべてを刻子または槓子にすることで、成立する役満です。

上の牌姿の待ちは「8索」「西」で、「8索」と「西」のどちらでアガるか、ツモでアガるかロンでアガるかによって、役が以下のように変わります。
- 「8索」のロンアガり:小四喜
- 「8索」のツモアガり:四暗刻、小四喜
- 「西」のロンアガり:大四喜
- 「西」のツモアガり:四暗刻、大四喜
役満同士が複合するかしないかは大きな違いですし、小四喜を普通の役満、大四喜をダブル役満とするルールも多いです。
アガり方およびアガる牌で大幅に点数に差が生じることは、念頭に置いておきましょう。
四槓子
四槓子は、暗槓・明槓・加槓を問わず、槓子を4つ作ることで成立する役満です。

上の牌姿では「2萬」「1筒」「7索」「西」の4種類の牌が槓子になっているので、単騎待ちの牌(今回の例だと「3索」)でアガることで、四暗刻と四槓子が成立します。
なお、四槓子はテンパイ時に必ず単騎待ちになるので、厳密には四暗刻ではなく四暗刻単騎と重複することになります。
天和・地和
天和は、親が配牌で配られた13枚+最初にツモってくる1枚でアガることができたときに成立する役満です。
つまり、四暗刻と天和が複合するためには、親が最初の14枚で四暗刻の条件を満たさなければなりません。

上の牌姿の待ちは「4索」と「東」なので、第一ツモで「4索」か「東」をツモってきたときのみ、四暗刻と天和が複合します。
地和は、子が配牌で配られた13枚+最初にツモってくる1枚でアガることができたときに成立する役満です。
ただし、自分が最初の牌をツモる前に他家がポンやチーなどの鳴きを入れたときは、地和は成立しません。

先ほどと同じ牌姿をもう一度出しますが、子が第一ツモで「4索」か「東」をツモってきたときのみ、四暗刻と地和が複合します。

麻雀の四暗刻(スーアンコウ)を狙うときの注意点
四暗刻は麻雀の役の中でもっとも打点の高い役満の一種であり、対局でアガることができればとても気持ちいいです。
ただし、条件が厳しく設定されている役だけに、簡単にアガれるわけではありません。
麻雀で四暗刻を狙うときの注意点を、以下で説明します。
四暗刻単騎でなければロン上がりでは成立しない
四暗刻の成立条件は、「手牌の中で4つの暗刻を自力で成立させること」です。
四暗刻の一般的なテンパイ形である「暗刻が3つ+対子が2つ」の形でテンパイした場合、ロンでアガると最後の刻子は他家の捨て牌で完成させたことになります。
このとき、自力で成立させた暗刻は3つなので、四暗刻は成立しません。
「暗刻が3つ+対子が2つ」の形で四暗刻をアガりたい場合は、待ち牌を自力でツモる必要があります。
一方、ダブル役満扱いになることもある「四暗刻単騎」の形でテンパイした場合、すでに手牌の中で暗刻が4つ成立しているので、ツモでもロンでも役満が成立します。
点数状況的に役満をアガる必要がある場合、テンパイ形によってツモしかダメかロンでもOKかが変わってくる点には、注意しましょう。
多面待ちのときは四暗刻にならない場合もある
四暗刻は、テンパイ形によっては多面待ちになる場合もあります。
たとえば、以下の牌姿を見てください。

上の牌姿の待ちは「1-4筒、3筒」で、「3筒」でアガれば「5萬」「9萬」「2筒」「白」が暗刻になるので、四暗刻が成立します。
しかし、「1-4筒」でアガると、「5萬」「9萬」「白」は暗刻になりますが、筒子の部分が「1-2-3筒(もしくは2-3-4筒)の順子と2筒の対子」の形になるので、四暗刻が成立しません。
続いて、以下の牌姿も見てもらいましょう。

上の牌姿の待ちは「7索、9索」で、「9索」でアガれば「8萬」「4筒」「8索」「中」が暗刻になるので、四暗刻が成立します。
しかし、「7索」でアガると、「8萬」「4筒」「中」は暗刻になりますが、索子の部分が「7-8-9索の順子と8索の対子」の形になるので、四暗刻が成立しません。
どうしても役満を上がらなければならない場合は、四暗刻にならないアガり牌は無視するくらいの覚悟が必要です。
絶対にツモりたい場合はリーチもあり
「暗刻が3つ+対子が2つ」の牌姿で四暗刻をテンパった場合、待ちはいわゆる「シャンポン待ち」になります。
シャンポン待ちは待ち牌の枚数がMAXで4枚なので、待ち牌がMAXで8枚ある両面待ちと比べると、アガりにくい待ちです。
アガりにくい待ちの場合、手役があるならリーチをかけずに他家が無警戒に切ってくれるのを待つのが常套手段といえるでしょう。
ただし、四暗刻に限っては他家に当たり牌を切られてしまうと、四暗刻単騎でない限り役満にはなりません。
そのため、「アガるのが難しい待ちながら他家には切ってほしくない」というジレンマのような状態に陥る可能性があります。
そういったことを踏まえて考えると、「絶対にツモって役満にしたい場合」は、リーチをかけるのもひとつの選択肢です。
リーチをかければ当然他家は警戒しますから、安全(そうな)牌を切って迂回するはずです。
そうすることで自分がツモの抽選を受けられる回数を増やすことができるので、四暗刻をツモれる可能性が多少なりとも高くなります。
三暗刻でもOKな場合はダマテンを選択するほうが賢明なケースが多いですが、四暗刻でなければダメな場合は思い切ってリーチをかけることも検討するとよいでしょう。

四暗刻(スーアンコウ)は見かける機会の多い役満!麻雀で狙ってみよう
四暗刻は、手牌の中で暗刻を4つ作ることで成立する役満です。
「手牌で暗刻を4つ作る」という条件は厳しめですが、字一色や緑一色などとは異なり、使う牌の種類が厳密に決められているわけではありません。
そのため、役満の中では比較的目にする機会の多い役といえます。
うまく四暗刻単騎になってくれれば、ルールによってはダブル役満扱いなので、どん底からの大逆転劇も夢ではありません。
アガったあとの他家の驚く顔がたまらない役なので、狙えるチャンスのある配牌をもらったら、ぜひチャレンジしてみましょう。