麻雀の役にはさまざまなものがありますが、それぞれの役に設定されている条件によって、役の出やすさは大きく異なります。
「平和」や「タンヤオ」のように出やすい役もあれば、役満のように出にくい役もありますが、そんな役満のなかでもっとも出にくい役のひとつが「四槓子」です。
長く麻雀を打っている方でも、自分で四槓子をアガったことがある、もしくは対局者による四槓子のアガりを見たことがある方はほんの一握りでしょう。
本記事では、四槓子という役の成立条件や発生確率などを説明します。
併せて、四槓子と複合する可能性のある役満や四槓子を狙うときの注意点についても説明するので、四槓子について詳しく知りたい初心者の方は、ぜひ参考にしてください。
麻雀の四槓子(スーカンツ)とは役満のひとつ!成立条件や点数を解説
四槓子は、暗槓・明槓・加槓を問わず、槓子を4つ作ることで成立する役満です。
カンにはいろいろな種類があり、自分で3枚もっている牌の4枚目をツモってきたときにするのが「暗槓」です。
一方、自分で3枚もっている牌の4枚目が場に切られたときにするのが「明槓」で、自分でポンしている牌の4枚目をツモってきたときにするのは、「加槓」と呼ばれます。
これら3種類のカンのいずれでも構わないので、槓子を4つ作ることで四槓子は成立します。

上の牌姿では「3筒」と「南」を暗槓し、「8萬」と「東」を明槓することで槓子が4つ成立しているので、単騎待ちの牌(今回の例だと「2索」)でアガれば、アガり役は四槓子です。
鳴きでも成立する
暗槓以外のカンをすると、手牌を面前で進めることはできません。
しかし、四槓子は面前で進めなくても成立する役満なので、副露を入れても問題なくアガることができます。
先ほど取り上げた牌姿が面前進行ではなかったことからも、四槓子が鳴きでも成立する役満であることがおわかりいただけるでしょう。
三槓子との違い
四槓子とよく似た役に、「三槓子」と呼ばれる役があります。
四槓子が「槓子」を「4つ」作ることで成立する役であるように、三槓子は「槓子」を「3つ」作ることで成立する役です。
たとえば、以下のような牌姿があるとしましょう。

上の牌姿では、「8筒」「9索」「中」の3種類の牌が槓子になっているので、待ち牌である「3萬」もしくは「1索」でアガることで、三槓子が成立します。
三槓子と四槓子を区別したい場合は、「手元に槓子の牌が何種類あるか」を考えるとわかりやすいです。
4回目のカンをさせると「包(パオ)」になる
麻雀には、役満を確定させる牌を鳴かせた人は、役満が成就した際に責任払いをする「包(パオ)」というルールがあります。
たとえば、以下のような牌姿があったとしましょう。

この牌姿ではすでに三槓子が成立しており、待ちは「6萬」単騎ですが、「1筒」が場に切られたらカンすることができます。
そして、カンをした瞬間四槓子のテンパイが確定するので、「1筒」を鳴かせた人が「パオ」です。
パオが発生した場合、役満が成就した際にはどのような形のアガりであっても、「パオ」の人は必ず点数を支払わなければなりません。
「パオ」の人がいる状況での役満成就時の点数移動は、以下のように行われます。
- ロンでアガった場合:放銃者と「パオ」になった人が折半
- ツモでアガった場合:「パオ」になった人がすべて支払い
四槓子は役満なので、子がロンアガりした場合は放銃者からアガった人に対して32,000点の点数移動が発生します。
しかし、「パオ」になっている人がいる場合は、放銃者と「パオ」になっている人で16,000点ずつ折半しなければなりません。
また、親が四槓子をツモったとすると、本来であればで3人の子が16,000点ずつ平等に支払います。
しかし、「パオ」の人がいる場合は、その人がほかの子の点数も肩代わりして48,000点をすべて支払わなければなりません。
麻雀で四槓子(スーカンツ)が発生する確率
麻雀で四槓子が発生する確率は、約0.0002%といわれています。
数字があまりに小さすぎてわかりにくいかもしれませんが、50万回対局してようやく1回アガれるかどうかの、とても低い確率です。
そもそも役満は条件が厳しめに設定されている役なので、出現率は低いですが、四槓子はそのなかでも群を抜いてレアな役です。
同じ役満である大三元や国士無双の出現率がいずれも約0.04%で、2,500回程度打つと1回ほどはアガれる計算と考えると、四槓子の難しさがわかりやすいでしょう。
人生で1回アガれるかアガれないかの役なので、アガれるチャンスが巡ってきたらぜひ狙ってみましょう。

麻雀の四槓子(スーカンツ)と複合する可能性がある役満
役満は特別な役なので、一般役とは複合しませんが、役満同士であれば複合して点数計算を行います。
四槓子と複合する可能性がある役満を、以下で紹介します。
四暗刻
四暗刻は、手牌の中で暗刻を4つ作ることで成立する役満です。
暗刻を作らなければならないため、四槓子とは異なり面前で手を進めなければなりません。
そのため、四槓子に必要なすべてのカンを「暗槓」で行った場合のみ、四槓子と四暗刻が複合します。

上の牌姿では、「6萬」「1索」「7筒」「北」の4種類の牌がすべて暗槓でカンされているため、単騎待ちの「北」でアガることで、四槓子と四暗刻が複合します。
大三元
大三元は、「白」「発」「中」の三元牌をすべて刻子または槓子で揃えることで成立する役満です。

上の牌姿では、「白」「発」「中」がいずれも槓子になったうえで、「2筒」と合わせて4つの槓子があるので、単騎待ちの「9萬」でアガることで、四槓子と大三元が複合します。
字一色
字一色は、手牌を風牌と三元牌のみで構成することで成立する役満です。

上の牌姿では、「東」「南」「西」「中」の4種類の字牌が槓子になっているので、単騎待ちの「発」でアガることで、四槓子と字一色が複合します。
清老頭
清老頭は、手牌を萬子・筒子・索子の1,9牌のみで構成することで成立する役満です。

上の牌姿では、「9索」「9筒」「1索」「1筒」の4種類の牌が槓子になっているので、単騎待ちの「1萬」でアガることで、四槓子と清老頭が複合します。
緑一色
緑一色は、「2索」「3索」「4索」「6索」「8索」「発」という「緑色だけの牌」だけで手牌を構成することで、成立する役満です。

上の牌姿では、「2索」「発」「6索」「8索」の4種類の牌が槓子になっているので、単騎待ちの「4索」でアガることで、四槓子と緑一色が複合します。
なお、ルールによっては手牌構成に「発」がなければ、緑一色とは認められない場合があります。
初めてのルールでプレイする場合は、緑一色の構成に「発」が必須かどうか確認しておくとよいでしょう。
小四喜・大四喜
小四喜は、「東」「南」「西」「北」の4つの風牌のうち3つを刻子または槓子にし、残りの1つを頭にすることで成立する役満です。
大四喜は、「東」「南」「西」「北」の4つの風牌すべてを刻子または槓子にすることで、成立する役満です。

上の牌姿では、風牌のうち「東」「南」「北」の3種類が槓子になったうえで「3索」の槓子があるので、単騎待ちの「西」でアガることで、四槓子と小四喜が複合します。

上の牌姿では、4種類の風牌すべてが槓子になっているので、単騎待ちの牌(今回は「8萬」)でアガることで、四槓子と大四喜が複合します。
小四喜と大四喜はとてもよく似た役ですが、四槓子と複合する場合の待ち牌は、小四喜では槓子になっていない残りの風牌になり、大四喜では風牌以外になるのが特徴です。

麻雀の四槓子(スーカンツ)を狙うときの注意点
四槓子はとても珍しい役満で、対局でアガることができればとても気持ちがよいはずです。
ただし、条件が厳しく設定されている役だけに、簡単にアガれるわけではありません。
麻雀で四槓子を狙うときの注意点を、以下で説明します。
基本的には「アガれない」と考えておくべき
先ほども少し触れましたが、四槓子の出現率は約0.0002%です。
有名な役満のひとつに「九蓮宝燈」と呼ばれる役満がありますが、九蓮宝燈はその難易度の高さから、アガった人はすべての運を使い果たすことで死んでしまうともいわれています。
そんな逸話がある九蓮宝燈ですら、出現率は約0.0005%です。
数字の上で比較する場合、四槓子は九蓮宝燈の2.5倍出にくい役満ということになります。
とても珍しい役満で麻雀プレイヤーが一度はアガりたいと渇望するほどの役だからこそ、基本的には「アガれない」と考えておくくらいがよいでしょう。
「四槓流れ(四開槓)」発生で流局する
麻雀には「四風連打」や「九種九牌」など、特殊な条件がそろうことで途中流局するルールがあります。
そのようなルールのひとつに、「四槓流れ(四開槓)」があります。
四槓流れ(四開槓)とは、対局中に2人以上のプレイヤーによってカン(種類を問わない)が計4回行われた場合、その時点で流局となるルールです。
たとえば、自分が以下のような牌姿だったとしましょう。

この牌姿ではすでに三槓子をテンパイしていますが、「東」をツモった、もしくは場に「東」が切られたときにカンをすることで、四槓子のテンパイに移行できる大チャンスです。
しかし、この状況で他家の誰かがカンを宣言すると、「2人以上のプレイヤーによってカンが計4回行われた」ことになるので、四槓流れ(四開槓)が成立して流局してしまいます。
ほかのプレイヤーが、いつどのような牌でカンをするかを推測することは、なかなか難しいです。
そのため、四槓子を狙う場合は四槓流れ(四開槓)による流局に怯えながら、対局を進めることになるでしょう。
自分が四槓子を狙わない場合、自分が1回カンをすることでほかの対局者の四槓子を抑止できることになることは、覚えておくべきです。
自分が四槓子を目指しているときに、四槓流れ(四開槓)による流局の可能性を少しでも減らすためには、2回目、3回目のカンを少しでも遅らせることを意識するとよいかもしれません。
先ほどの牌姿を、もう1度見てみましょう。

この牌姿ではすでに三槓子が成立しており、「東」をカンすることで四槓子のテンパイになります。
対局者の手牌を見ることはできませんが、他家からしても「三槓子が成立していて手牌に暗刻があれば四槓子への移行も可能」であることは、十分わかる状態です。
それはいい換えれば、「カンをすれば流局にもち込める」ことが理解できる状態でもあります。
他家にそういった意識をもたせないためには、2回目や3回目のカン(上の牌姿では「9萬」や「8筒」)を少しでも遅らせて、狙いを絞らせないようにすることが大事です。
明槓は他家の切るタイミングにもよるのでコントロールはできませんが、暗槓のタイミングを少し遅らせることを意識してみても、よいかもしれません。
状況によっては三槓子での妥協も必要
四槓子はそう簡単にアガれるものではないことは、何度もお伝えしているとおりです。
カンを3回すれば他家に四槓流れ(四開槓)を狙われるかもしれませんし、カンによるドラが増えたことで面前のプレイヤーからリーチを受けるかもしれません。
そういったいくつもの苦難を乗り越えたうえで、確率の壁を突破することで初めてアガれるのが四槓子という役です。
三槓子は2翻役ですが、ほかの役と複合したりカンドラがモロ乗りしたりすることで、ハネ満以上の手になることも多々あります。
「逆転のために高打点の手が必要」という理由で四槓子を狙っているのであれば、状況によっては三槓子での妥協も考えるべきでしょう。

四槓子(スーカンツ)は「幻の役満」!チャンスがあったら麻雀で狙ってみよう
四槓子は、手牌で槓子を4つ作ることで成立する役満です。
「幻の役満」と呼ばれることもあるほどアガるのが難しい役で、その難易度は「アガったら死ぬ」といわれることもある九蓮宝燈と双璧を成します。
半荘中にカンが一度も行われないこともあるなかで、「1局で自分だけで4回のカンをしてアガる」ことがとても難しいことは、いうまでもありません。
1度でもアガることができれば、麻雀仲間にいつまでも自慢できることは間違いないので、狙えるチャンスのある配牌をもらったら、ぜひチャレンジしてみましょう。