麻雀の役の中でもっとも点数が高いのは「役満」ですが、「九蓮宝燈(チューレンポートウ)」はそんな役満の一種です。
九蓮宝燈は役満の中でも特別感のある役なので、実戦でアガることができれば対局相手から驚かれること間違いありませんが、成立条件を把握していなければ狙うこともできません。
本記事では、九蓮宝燈という役の成立条件や発生確率、複合する可能性がある役満などを説明します。
併せて、九蓮宝燈を狙うときの注意点についても説明するので、九蓮宝燈について詳しく知りたい初心者の方はぜひ参考にしてください。
九蓮宝燈(チューレンポートウ)とは麻雀の役満のひとつ!成立条件を解説
九蓮宝燈は、「萬子」「筒子」「索子」のいずれか1つの種類で1と9を3枚ずつ、2~8を1枚ずつと、1~9のいずれかの牌をさらに1枚、門前でそろえることで成立する役満です。

上の牌姿の待ちは「2-5萬、3萬」ですが、そのうち「5萬」でアガることで九蓮宝燈が成立します。
一方、「2萬」と「3萬」では九蓮宝燈は成立せず、「清一色」でのアガりです。
清一色も十分高打点のアガりではありますが、役満をアガりたい場合は「5萬」をツモるか、他家が「5萬」を切ってくれることを祈りましょう。
九蓮宝燈をテンパった牌姿は待ちが多面張になりやすいので、「待ち牌は何か」「その中で九蓮宝燈になるのはどの牌か」を、正確に見極める必要があります。
萬子以外でも成立する
先ほど触れたように、九蓮宝燈は萬子でも筒子でも索子でも成立する役満です。
しかし、九蓮宝燈の説明をする際には萬子で牌姿の例を出すことが一般的ですし、youtubeなどで見ることができる実際の対局での九蓮宝燈のアガりも、萬子でアガっているものが多いです。
そのため、初心者の方のなかには「九蓮宝燈は萬子でないと成立しない」と思ってしまっている方もいるかもしれませんが、筒子でも索子でも条件を満たせば九蓮宝燈という役満が成立します。
鳴きでは成立しない
九蓮宝燈は、萬子・筒子・索子のいずれか1つの種類で1と9を3枚ずつ、2~8を1枚ずつと、1~9のいずれかの牌をさらに1枚そろえることで成立する役満ですが、条件は門前に限られるので、鳴いた場合は九蓮宝燈にはなりません。

上の牌姿の待ちは「2-5-8萬」で、「2萬」でアガれば萬子で「1と9を3枚ずつ、2~8を1枚ずつと、1~9のいずれかの牌をさらに1枚(今回の場合は「5萬」)そろえる」という条件を満たしていますが、鳴いているので九蓮宝燈にはならず、アガり役は清一色です。
牌姿的にポンやチーをしたくなる局面が多々訪れると思いますが、九蓮宝燈を狙いたいのであればグッと我慢して門前にこだわりましょう。
「アガると死ぬ」といわれている理由
九蓮宝燈は役満のなかでもいろいろな逸話や都市伝説があることで有名ですが、その中のひとつに「アガると死ぬ」というものがあります。
そのような都市伝説がまことしやかに噂されるようになった一因には、九蓮宝燈の発生確率の低さが関係していると考えられます。
九蓮宝燈を含む役満は、成立条件の厳しさから発生確率がとても低いものばかりですが、九蓮宝燈の発生確率はそんな役満のなかでもとくに低く、約0.0003%~約0.0005%です。
「それだけ難しく珍しい役をアガるからには人生における運をすべて使い切らなければならない」と考えられたことから、九蓮宝燈をアガるとそのまま死んでしまうといわれるようになったと考えられています。
また、麻雀をテーマにした映画である「麻雀放浪記」のワンシーンも、「九蓮宝燈をアガると死ぬ」という都市伝説に奇妙な説得力を与えています。
麻雀放浪記には、作中の登場人物が九蓮宝燈をアガった後そのまま死んでしまう描写があり、この描写により「九蓮宝燈をアガると死ぬ」という話が広まった側面もあるでしょう。
純正九蓮宝燈との違い
九蓮宝燈は、特別な条件を満たすことで「純正九蓮宝燈」と呼ばれる場合があります。
その条件とは、テンパイ形が「萬子・筒子・索子のいずれか1つの種類で1と9が3枚ずつ、2~8が1枚ずつ」になることで、具体的には以下のような牌姿です。

この牌姿における待ちは「萬子の1~9すべて」で、萬子であればどの牌でもアガれることから、「純正九蓮宝燈」と呼ばれています。
九蓮宝燈の点数
九蓮宝燈は役満なので、子がアガった場合の点数は32,000点(ツモで8,000、16,000)、親がアガった場合の点数は48,000点(ツモで16,000オール)です。
ただし、純正九蓮宝燈はダブル役満扱いになるルールも多く、そのケースでは子のアガりで64,000点(ツモで16,000、32,000)、親のアガりで96,000点(ツモで32,000オール)になります。
九蓮宝燈、ひいては純正九蓮宝燈など人生で1度アガれるかどうかの役ではありますが、点数はきちんと把握しておきましょう。
麻雀で九蓮宝燈(チューレンポートウ)が発生する確率
先ほども少し触れましたが、麻雀で九蓮宝燈が発生する確率は約0.0003%~約0.0005%といわれています。
つまり、20万回~33万回対局して1度アガれるかどうかの確率なので、九蓮宝燈をアガる難易度の高さがおわかりいただけるでしょう。
ちなみに、同じ役満でも出現率には差があり、役満のなかでも比較的見かけることの多い四暗刻や国士無双の出現率は、それぞれ約0.05%、約0.04%です。
同じ役満同士の比較からも、「九蓮宝燈をアガると死ぬ」というのはあながち嘘ではないのではないかと考えてしまうかもしれません。

麻雀の九蓮宝燈(チューレンポートウ)と複合する可能性がある役満
九蓮宝燈は最終形が厳密に決まっている役満なので、ほかの役満と複合することはほぼなく、複合する可能性がある役満は天和と地和だけです。
天和は、親が配牌で配られた13枚+最初にツモってくる1枚でアガることができたときに成立する役満です。
つまり、九蓮宝燈と天和が複合するためには、親が最初の14枚で九蓮宝燈の条件を満たさなければなりません。

上の牌姿の待ちは「1-4-7萬」なので、第一ツモで「1萬」をツモってきた場合のみ、九蓮宝燈と天和が複合します。
地和は、子が配牌で配られた13枚+最初にツモってくる1枚でアガることができたときに成立する役満です。
ただし、自分の第一ツモが回ってくる前にポンやチーなどの鳴きが入った場合は、地和は成立しません。

先ほどと同じ牌姿をもう一度出しますが、子が第一ツモで「1萬」をツモってきた場合のみ、九蓮宝燈と地和が複合します。
天和と地和も九蓮宝燈と同じく、役満のなかでは出現率がかなり低いので、両者が複合するとなると天文学的な確率になることは間違いありません。
自分に限らず対局相手でも、九蓮宝燈と天和や地和が複合しているアガりを見ることは限りなくゼロに近いですが、知識として覚えておくとよいでしょう。

麻雀の九蓮宝燈(チューレンポートウ)を狙うときの注意点
九蓮宝燈は麻雀を打つ人の憧れの役のひとつなので、狙える配牌が来たら積極的に狙っていきたいところです。
ただし、そもそも条件が厳しい役だけに、狙うにあたって注意すべき点もいくつかあります。
対局で九蓮宝燈を狙うときの注意点を、以下で説明しましょう。
基本的には鳴いてアガりを目指すほうが現実的
九蓮宝燈は門前条件の役満ですが、萬子・筒子・索子のいずれか1つの種類で1と9を3枚ずつ、2~8を1枚ずつと1~9のいずれかの牌をさらに1枚、鳴かずに揃えることは至難の業です。
また、門前条件の役は「平和」や「一盃口」などいくつかありますが、それらは鳴いてしまうとほかに役が成立せずに形式テンパイになってしまう可能性もあります。
その点九蓮宝燈は、萬子・筒子・索子のいずれか1つの種類の牌しか使わずに作る役のため、鳴いても「清一色」が成立します。
そのため、たとえ九蓮宝燈を狙える手牌をもらったとしても、実現可能なアガりのことを考えるのであれば、ポンやチーなどの鳴きを入れて清一色を狙うのが現実的です。
「役満をアガらないと逆転できない」「憧れの役である九蓮宝燈を何とかしてアガりたい」など、各々の事情を踏まえたうえで、門前に固執して九蓮宝燈を狙うのか、妥協して清一色でアガるのかを判断しましょう。
待ちが複数ある場合は九蓮宝燈にならない当たり牌もある
九蓮宝燈のテンパイ形は多面張になることも多いですが、その場合は当たり牌の中に「九蓮宝燈でのアガりにならない牌」も存在します。

たとえば、上の牌姿の待ちは「1-4萬、6-9萬」ですが、このうち九蓮宝燈が成立する牌は「6萬」のみです。
「1萬」「4萬」「9萬」でアガると九蓮宝燈の条件を満たさず、清一色でのアガりになります。
他家に先んじてテンパったと感じている場合は、しばらくの間は「1萬」「4萬」「9萬」が切られてもアガらないでおく選択肢もあるでしょう。
ただ、清一色も十分高打点の役なので、「1萬」「4萬」「9萬」で九蓮宝燈が成立せずともアガるのが現実的かもしれません。
多面張のときはフリテンに注意
九蓮宝燈をテンパイすると、手牌がすべて萬子・筒子・索子のどれかに染まるので多面張になりやすいですし、パッと見ただけでは待ちを把握するのが難しいような形になるケースも多々あります。

たとえば上の牌姿の待ちは「2-5-8萬、3萬」で、「8萬」でアガれば九蓮宝燈が成立します。
ただし、麻雀初心者の方だとこの待ちをすぐに正確に把握するのは難しいでしょう。
とくに、少しイレギュラーな待ちになる「3萬」は、つい見落としてしまいがちです。
待ちの確認をしているうちに「3萬」が場に切られてしまい、ロンかどうか判断できないうちに他家が続けて「8萬」を切ってしまうこともあります。
「8萬なら九蓮宝燈だ!」と思ってロンを宣言したところ、同順に切られている「3萬」も当たり牌なのでフリテンになり、役満をアガれないどころか罰符を支払う羽目になるなんてことのないように、待ちを正確に把握したうえで自分の手番を終えるようにするのが賢明です。
九面待ちの純正九蓮宝燈のときは相手を定めてロンでアガるのもあり
オーラスなどで着順変動のために点数条件がある場合、テンパってもリーチをかけずに着順変動の望みがある相手からのアガり、いわゆる「デバサイ」を狙うことがあります。
デバサイを狙うために理想的なのは、「何かしらの手役を多面張でテンパること」です。
手役がなければ当たり牌が切られたとしてもアガれないのでリーチをするしかありませんが、リーチをかければ当然相手は警戒するので、デバサイを狙いにくくなります。
また、デバサイを狙うためにはそれ以外の対局者が切った当たり牌を見逃さなければなりません。
ペンチャンやカンチャンのように、待ち牌が1種類しかないようなテンパイ形だと、見逃している余裕はなかなかないでしょう。
そういったことを踏まえると、萬子・筒子・索子の1~9牌すべてがアガりになる「純正九蓮宝燈」は、デバサイを狙うための役としてかなり優れているといえます。
万が一点数条件があるような局面で純正九蓮宝燈をテンパるようなことがあれば、リーチをかけずに着順変動のある相手からのみロンでアガるようにするのも、ひとつの戦略です。

九蓮宝燈(チューレンポートウ)は「家が建つ」ともいわれるほど点数の高い役満
九蓮宝燈は、「萬子」「筒子」「索子」のいずれか1つの種類で1と9を3枚ずつ、2~8を1枚ずつと、1~9のいずれかの牌をさらに1枚、門前でそろえることで成立する役満です。
出現率の低さから「アガると(すべての運を使い果たして)死ぬ」といわれるほどですし、役満という点数の高さからアガることで「家が建つ」といわれることもあるなど、九蓮宝燈絡みの逸話や都市伝説は枚挙に暇がありません。
もちろん、この条件を満たすことはかなりハードルが高いですし、手牌をすべて萬子・筒子・索子のいずれか1つで染めることになる以上、鳴いて清一色を狙ったほうが現実的ではあります。
ただ、九蓮宝燈という役は役満のなかでも特別扱いですし、多くの麻雀プレイヤーにとって憧れの役でもあります。
狙える機会はそうそう訪れないため、もし九蓮宝燈を狙えるような手牌をもらったとしたら、何としてでも狙ってみましょう。