麻雀の役や用語には、一見しただけでは何を意味しているのか、そもそも何と読むのかわからないようなものがあります。
「海底摸月(ハイテイ)」も、そのような用語のひとつといえるでしょう。
3文字目の「摸」以外は見かける機会の多い漢字ですが、それでも麻雀初心者の方だとどのようなことを意味しているのか、イマイチピンと来ないのではないでしょうか。
本記事では、「海底摸月」の意味や読み方などを説明します。
併せて、海底摸月に関する注意点やよくある質問およびそれに対する回答なども紹介するので、麻雀初心者の方はぜひ参考にしてください。
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麻雀の海底摸月とは？
麻雀の用語をきちんと把握しておかなければ、当然麻雀で勝つことはできません。
麻雀の「海底摸月」とは何かについて、以下で説明します。
読み方は「ハイテイ」
「海底摸月」の読み方は、「ハイテイモーユエ」です。
ただし、「対々和」のことを正式名称である「トイトイホー」ではなく「トイトイ」と呼ぶことが多いように、「ハイテイモーユエ」のことを正式名称で呼ぶことはあまりありません。
対局などでは、4文字の漢字のうち前2つの読み方にあたる「ハイテイ」と呼ばれることが多いです。
海底摸月(ハイテイ)は麻雀の役のひとつ
海底摸月は、麻雀の1翻役のひとつです。
麻雀では役の翻数を合計してアガり計算を行うので、それぞれの役の翻数はきちんと覚えておかなければなりません。
海底摸月(ハイテイ)の成立条件
海底摸月は、牌山にあるその局の最後のツモ牌でツモアガることで成立する役で、手牌に関する制限や条件は一切ありません。
たとえば上の牌姿の待ちは「4-7索」で、普通にツモった場合の役は「ツモ、平和」のみです。
ただし、その局の最後のツモ牌(ハイテイ牌)でツモアガった場合は、「ツモ、平和、海底摸月」となります。
海底摸月(ハイテイ)と河底撈魚(ホウテイ)の違い
海底摸月とよく似た役に「河底撈魚」があり、海底摸月が「ハイテイ」と呼ばれるのに対して、河底撈魚は「ホウテイ」と呼ばれます。
両者は成立条件がよく似ており、海底摸月が「その局の最後のツモ牌でツモアガることで成立する役」であるのに対して、河底撈魚は「その局の最後の捨て牌でロンアガりすることで成立する役」です。
意味も漢字も読み方もよく似ている役なので、両者を混同しないように注意しましょう。
麻雀の海底摸月(ハイテイ)でアガれる確率
海底摸月でアガれる確率は約0.5%で、200局に1局程度アガれるくらいのイメージです。
狙ってアガれるような役ではありませんし、ハイテイツモを自分でツモれるかどうかもかなり偶発的なので、「アガれたらラッキー」くらいに思っておくのが賢明です。
麻雀の海底摸月(ハイテイ)と複合しやすい役
海底摸月は偶発的な役で、手牌に制限や条件があるわけではないので、とくに複合しやすい役はありません。
ただし、「その局の最後のツモ牌でツモアガることで成立する」という条件によって、以下の役とは複合しません。
- 嶺上開花(リンシャンカイホー)
- 槍槓(チャンカン)
嶺上開花は、カンをしたときにツモってくる嶺上牌でツモアガったときに成立する役です。
カンができるのはハイテイ牌の1つ前の牌までなので、嶺上開花が成立する以上、ハイテイ牌はツモられていないことになります。
そのため、嶺上開花と海底摸月は複合しません。
また、槍槓は他家が加槓しようとした牌でアガることで成立する役であり、自分のツモのときに成立する役ではありません。
そのため、こちらも海底摸月とは複合しない役になります。
麻雀の海底摸月(ハイテイ)に関する注意点
海底摸月は成立条件が少し特殊なうえに、出現率自体もそこまで高いわけではないので、海底摸月に関してきちんと理解できていない人もいるのではないでしょうか。
以下では、海底摸月に関する注意点を説明しますので、対局時の参考にしてください。
嶺上開花とは複合しない
先ほども少し触れましたが、海底摸月は嶺上開花とは複合しません。
嶺上開花でのツモアガりが対局の序盤や中盤で発生した場合は、海底摸月と複合するかどうかを考える必要はありません。
この話がややこしくなるのは、「嶺上開花でツモってくる牌がその局での最後のツモ牌」になる場合です。
「最後の牌」でツモっているため海底摸月と複合すると考えるのも自然かもしれませんが、海底摸月は「牌山にある」その局の最後のツモ牌でツモったときに成立する役です。
嶺上牌は王牌にある牌で、牌山にある牌ではないので、海底摸月とは複合しません。
他家の動きで妨げられる場合がある
自分がテンパっていてハイテイツモが回ってくるときは、海底摸月のチャンスがあるのでワクワクする方も多いでしょう。
ただし、自分にとって嬉しいことは当然ほかの対局者にとっては望ましくないことなので、ポンやチーなどでツモ順がズラされてハイテイ牌を自分がツモれなくなる可能性があります。
とくに対局者のレベルが高くなると、テンパっている相手にハイテイツモを回さないようにする意識が高くなるので、必ずしも自分の思いどおりに進まない可能性が高いことは念頭に置いておかなければなりません。
完全先付けのルールだと認められない場合がある
海底摸月は、完全先付けのルールだと認められない場合があります。
完全先付けとは、先に役が確定しない状態ではアガれないというルールのことですが、初心者の方には少し難しいかもしれません。
たとえば上の牌姿の場合、待ちの形は「3-6萬」で、「6萬」だと一気通貫でアガることができますが、「3萬」では何の役もないのでアガることができません。
この牌姿は、「6萬」をツモるかロンアガりしたときに初めて役が確定する牌姿なので、「完全先付け」のルールだとアガれないことになります。
一方、上の牌姿は先ほどの牌姿と非常によく似ていますが、萬子で一気通貫の形が確定しており、待ちが「6-9索」になっています。
この牌姿であれば、完全先付けのルールでもアガることが可能です。
海底摸月は、最後のツモ牌をツモることで役が確定するものなので、それまでは役が確定していないことになるため、完全先付けのルールだと認められない場合があります。
「場合がある」というのは、完全先付けのルールの考え方はケースバイケースで、海底摸月でのアガりを認めることもあるからです。
完全先付けのルールで対局する場合、不安であれば海底摸月が認められるかどうか、事前に確認しておくとよいでしょう。
アガらないほうがよいケースもある
麻雀はアガれるときにアガっておいたほうがよいというのが基本的な考え方ですが、場合によってはアガらないほうがよいケースもあります。
先ほど例に出した牌姿を、ここでもう一度見てみます。
この牌姿でハイテイ牌に「3萬」をツモった場合、「海底摸月のみ」で親なら「500オール」、子供なら「300,500」のアガりです。
しかし、仮に自分だけがテンパイして他家が全員テンパイしていない状態であれば、流局することで全員から1,000点ずつの収入を得られます。
つまり、テンパイ料による収入のほうが海底摸月による収入よりも高い場合は、アガらないほうがよいケースもあるのです。
もちろん、「他家がテンパイしているかいないか」は他家の様子や打牌などを見て判断しなければなりません。
推測が間違っていれば収入が少なくなるので、おとなしく「海底摸月のみ」でアガっておいたほうがよいかもしれないです。
他家が明確にオリておりテンパっていないと判断できる場合は、「海底摸月のみ」ではアガらない選択肢を検討してもよいでしょう。
麻雀で他家に海底摸月(ハイテイ)でアガられないために注意したいこと
海底摸月は、流局するかどうかの瀬戸際に他家にアガられることになるので、対局者としては避けたいことは間違いありません。
他家に海底摸月でアガられないために注意したいことを、以下で説明します。
鳴きでハイテイをズラす
海底摸月でアガられないために有効なのは、「テンパっている相手にハイテイツモを回さないこと」です。
麻雀ではポンやチーなどの鳴きが入るとツモ順がズレるので、ハイテイツモをツモる人もズレることになります。
このまま進めばリーチ者がハイテイツモをツモることになり、大きな失点になるかもしれない可能性がある場合は、可能な範囲で鳴きでハイテイをズラすことを意識してみましょう。
鳴いてハイテイをズラしたはいいものの、鳴きによって手牌に安牌がなくなって放銃してしまっては意味がないので、鳴いても切れる安牌があることを確認したうえで実行するのが大事です。
他家が形式テンパイかどうかを判断する
他家のテンパイが役のあるテンパイであれば、ハイテイでなくてもツモればアガれるので、ハイテイツモかどうかを意識する必要はそこまでありません。
一方、他家が形式テンパイであれば、形のうえでアガれる牌をツモってもアガれませんが、それがハイテイツモであれば海底摸月でアガれます。
そのため、他家が形式テンパイかどうかを見抜くことはとても大事です。
このまま進めばハイテイツモをツモることになる対局者が、上のような仕掛けをしているとしましょう。
鳴きの形からタンヤオでもチャンタでもないことは確実なので、「4-5-6や7-8-9の三色」や「萬子や筒子の一気通貫」などの役が成立するかどうかを、捨て牌やすでに4枚見えている牌の有無などから考えます。
いろいろ考えた挙句どのような役も成立しない場合は形式テンパイの可能性が高いですが、それでもハイテイ牌が形のうえでアガれる牌であれば海底摸月が成立してしまいます。
可能であればポンやチーなどの鳴きで、ハイテイツモを回さないようにしましょう。
麻雀の海底摸月(ハイテイ)に関するよくある質問
海底摸月は、「平和」や「対々和」といった出現頻度の高い役と比べると目にする機会が少ない役なので、海底摸月の細かい知識についてきちんと把握できていない人も多いです。
以下では、海底摸月に関するよくある質問にQ&A形式で回答していきますので、海底摸月に関して詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
- 「海底摸月」と「海底撈月」の違いは何ですか？
-
「海底摸月」は麻雀の役ですが、「海底撈月」という役は麻雀にはありません。
考えられるとすると、「河底撈魚」という役が麻雀にはあるので、そちらと表記を混同しているのかもしれません。
正しい表記である「海底摸月」を覚えましょう。
- 役がなくても海底摸月でアガれますか？
-
役がない場合でも、ハイテイ牌でツモることで海底摸月という役が付くので、アガることができます。
ただし、完全先付けルールの場合は、役がなければ海底摸月でのアガりが認められないことがあります。
取り決め次第なので、ルールをきちんと把握していない場合は事前に確認しておくのが無難でしょう。
- 海底摸月に関連したローカル役はありますか？
-
海底摸月には、「一筒摸月」というローカル役があります。
一筒摸月は、ハイテイツモで「1筒」をツモったときに成立する役で、1筒の絵柄を満月に見立てています。
上の牌姿は「1-4筒」待ちで、ハイテイツモで「1筒」をツモったときは一筒摸月でのアガりです。
一筒摸月は満貫のアガりとされることが多いですが、取り決め次第でそれ以上の役になるケースもあるので、一筒摸月をローカル役として採用する場合は点数確認をしておくのが賢明でしょう。
偶発的だがアガれると嬉しい！麻雀で海底摸月(ハイテイ)を狙ってみよう
麻雀の海底摸月は、「牌山にあるその局の最後のツモ牌」であるハイテイ牌でツモることで成立する役です。
ハイテイ牌が何かを事前に把握することはできないので、海底摸月は狙ってアガれるものではない偶発的な役です。
ただし、その局の一番最後のツモが自分に回ってきたうえでその牌でツモれると、テンパっている立場としてとても嬉しいというのは、麻雀経験者であれば誰でもおわかりいただけるでしょう。
リーチや仕掛けでテンパっていると、他家が対抗してくる前に一刻も早くアガりたいというのは、自然な考えです。
ただし、ハイテイツモが自分に回って来るようであれば、最後の最後にお宝が待っている可能性もあります。
「狙っているわけではないけれどアガれたらラッキー」、そんな役である海底摸月をぜひアガってみましょう。
