麻雀には「空切り」と呼ばれる行為があり、上級者の方は空切りをうまく駆使しながら対局を進めていきます。
ただし、初心者の方がメリットやデメリットを把握しないまま、見よう見まねで空切りを行うのはリスクが大きいです。
本記事では、麻雀における空切りとはどのような行為か、空切りのメリット・デメリットを解説します。
また、空切りはマナー違反や反則といわれることもありますが、その是非についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。
麻雀の空切り(からぎり)とは

麻雀の空切り(からぎり)とは、手牌に組み込まれている牌と同じ牌を山からツモってきたときに、ツモってきた牌ではなく手牌にあるほうの牌を切る行為のことを指します。
たとえば上のような牌姿において、ツモってきた「1萬」ではなく、手牌の中にある「1萬」を切ることが、「空切り」です。
空切りをした場合でも、ツモってきた牌をそのまま切った場合でも、「1萬が切られた」という事実が変わるわけではありませんが、対局者に与える印象は異なります。
空切りをする際は、「対局者にどのような印象を与えるか」を強く意識することが大事です。
麻雀で空切りを行うメリット

麻雀で空切りを行うことには、メリットもデメリットもあります。
まずは、麻雀で空切りを行うメリットを説明しましょう。
手が進行したように見せられる
空切りを行うと、もともと手牌にあった牌が捨てられてツモってきた牌が手牌に加えられるので、対局者に対して「手が進行した」という印象を与えることができます。
その結果、対局者が自分の手を警戒してオリてくれたり、手牌をスリムに構えながら打ってくれたりするかもしれません。
ただし、手が進行したように見せることは、ロン上がりを狙っている場合にはデメリットになることもあるので、ケースバイケースで考える必要があります。
リーチや仕掛けに対してオリたように見せられる
空切りで切る牌がリーチ者や仕掛けで目立っている相手の現物だった場合、「現物を切ってオリている、もしくは回っている」というような印象を与えられます。
そうすると、対局者の注意が一時的に自分からそれることになるので、リーチや仕掛けの現物でテンパイしている場合、油断した相手からのロンを狙いやすくなるでしょう。
自分がテンパイしているかどうか、テンパイしている場合の待ち牌が何かなどによって、この点がメリットになるかどうかは大きく変わります。
スライドを装うことができる
スライドとは、手牌の構成を変えつつ形を維持することを指します。
たとえば、手牌に「2萬-3萬-4萬」があるところに「5萬」をツモってきた場合、手牌から「2萬」を切ることで、メンツの形が「3萬-4萬-5萬」となりながら形を維持することが可能です。
スライドを見抜かれると相手に手牌構成が一部バレてしまいますが、スライドを装うことができれば、相手にミスリードさせることもできます。
たとえば、手牌から空切りで「1萬」を切った場合に、相手が「『1萬-2萬-3』から『2萬-3萬-4』にスライドしたな」と思ってくれれば、4萬を安全牌だと思ってもらえる可能性がアップするでしょう。
実際の手牌構成が以下のようだった場合、油断した相手から「4萬」でアガれるかもしれません。
麻雀で空切りを行うデメリット

麻雀で空切りを行うことにはメリットがある一方、デメリットととらえられる側面もあります。
麻雀で空切りを行うデメリットを、以下で説明しましょう。
手牌構成が一部バレる
空切りでは手牌のうち1枚を切る以上、「直前までその牌が手牌に組み込まれていた」という情報を相手に与えることになります。
その結果、手牌構成が一部バレてしまい、危険牌や手役が絞られてしまうかもしれません。
初心者同士の対局ではこの点を懸念する必要はそこまでありませんが、上級者相手の対局では手牌構成が一部でもバレることは大きなデメリットになり得ます。
対局者がオリる可能性がある
点棒状況に差があり、「この相手からはアガれない」「この相手からロンを狙いたい」というようなシチュエーションは、麻雀の対局において多々あります。
その際、アガりたくない相手から当たり牌が出た場合には見逃して、狙っている相手から当たり牌が切られるのを祈ることもあるでしょう。
自分がツモ切りを繰り返している限り、「最後に手出しをしたときよりも前に切られた牌は安全牌だ」と対局者が考えるのはごく自然なことです。
直撃でのロンを狙う場合はその心理を利用することになりますが、空切りをしてしまうとその時点が「最後の手出し」になってしまいます。
その結果、手牌構成は何も変わっていないのに「これまで通っていた牌が当たり牌になっているかもしれない」と対局者が考えて、一歩引いてしまったりオリてしまったりする可能性があります。
特定の相手からのロンを狙っている場合、空切りが悪影響を与える可能性があることは、念頭に置いておかなければなりません。

麻雀で空切りが有効なシーン

麻雀で空切りが有効かどうかは、ケースバイケースです。
麻雀で空切りが有効になり得るシーンを、以下で紹介します。
対局者にプレッシャーをかけたいとき
「自分の手牌の中から牌を選んで捨てる」という空切りの特性は、相手にプレッシャーをかけたいときに、とくに有効です。
手牌の中から1枚捨てられてツモってきた牌が手牌に加えられる以上、手が一手進んだと考えられるのは当然のことです。
その結果、対局者が「もうテンパイしたかな?」「安全牌をもっておこう」といったようにプレッシャーを感じてくれるでしょう。
アガることが目的の麻雀において、相手に不必要なプレッシャーをかけるのは必ずしも正しいとは限りませんが、親がテンパイ連荘の場合に何としてでも子を一歩引かせたい場合などには、空切りが有効な手段になり得ます。
リーチや仕掛けに対して対応しているように見せたいとき
自分がテンパイしていて、リーチ者や仕掛けで目立っている相手の現物に自分の待ち牌がある場合、ほかの対局者からのロンを狙う絶好の機会です。
ただしそのためには、「リーチや仕掛けに対して対応している=テンパイ状態を維持していない」と思ってもらえることが大事です。
安牌をツモってきた際にそれをそのまま切ってしまっては、「自分が対応している」という印象はなかなか与えられません。
安牌を空切りすることで、「リーチや仕掛けに対して対応している」という印象をもってもらいやすく、よりロンでのアガりを狙いやすくなります。

麻雀での空切りは反則?マナー違反?

空切りをすることが反則ではないか、マナー違反ではないか、といわれることもあります。
しかし「自分の手牌の中から牌を選んで捨て、ツモってきた牌を手牌に加える」ことは、麻雀のもっとも基本的な行為といっても過言ではありません。
そのため、空切りは決して反則でもマナー違反でもありません。
ただし、空切りを行う際にため息をついたり、「こりゃダメだ」などといったりすると、それが三味線行為ととらえられる可能性もあります。
そういった行為は空切りの有無に関わらず三味線行為と考えられやすいので、全員が気持ちよく対局できるように、疑われやすい所作は控えましょう。

麻雀で空切りを駆使しながら打ってみよう

空切りは常に行ったほうがよい行為というわけではありませんが、シチュエーションを選んで行うことで、相手にプレッシャーを与えたりロンでのアガりを狙いやすくなったりします。
どのようなシチュエーションで空切りを行うべきかは、経験を積んでいく中で少しずつわかってくるはずです。
対局の中で空切りを駆使しながら、空切りの効果を実感してみましょう。