麻雀には多くの役がありますが、その中のひとつに「三暗刻(サンアンコウ)」と呼ばれる役があります。
「暗刻」という麻雀用語の意味がわかっていれば、成立条件をなんとなく把握できるかもしれませんが、三暗刻は実戦でもそれなりに見かける機会の多い役です。
本記事では、三暗刻という役の成立条件や点数、複合しやすい役などを説明します。
併せて、三暗刻を狙うときの注意点や狙ってみてもよい場面についても説明するので、三暗刻について詳しく知りたい初心者の方は、ぜひ参考にしてください。
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麻雀の三暗刻（サンアンコウ）とは？
麻雀にはさまざまな役がありますが、すべての役をきちんと把握しておかなければなりません。
役の成立条件があいまいだと、狙えるチャンスを見逃して不利な状況に置かれてしまう可能性があります。
麻雀の「三暗刻」について、以下で説明します。
鳴きでも成立する食い下がりのない2翻役
三暗刻は、手牌のなかに暗刻を3つ作ることで成立する2翻役で、鳴いても食い下がりません。
上の牌姿では「8萬」と「7索」がすでに暗刻になっているので、「二暗刻」が成立している状態です。
待ち牌である「3萬」と「9筒」のいずれかをツモることで、ツモった牌も合わせて暗刻が3つになるので、三暗刻が成立します。
ただし、「3萬」と「9筒」のいずれかをロンアガりした場合は、「暗刻が3つ」の条件を満たさないため、三暗刻は成立せず対々和のみでのアガりです。
三暗刻と対々和は、条件で似ている部分があることから混同されやすい役です。
しかし、両者は「刻子以外の面子の存在を許すかどうか」「暗刻の数はいくつか」という点に注目することで、見分けることができます。
三暗刻は、「手牌で3つの暗刻」を作る必要がありますが、手牌に順子形が含まれていても問題ありません。
一方の対々和は、手牌を刻子形(＋雀頭)のみで構成しなければならないので、手牌に順子形が含まれている形では対々和は成立しません。
また、対々和では刻子が暗刻か明刻は問われませんが、三暗刻は読んで字のごとく「3つの暗刻」が必要です。
こういった点を踏まえて、以下の2つの牌姿を見てみましょう。
上の牌姿では、面子がすべて刻子になっているので、対々和の成立条件を満たしていますし、「1索」をツモることで「2萬」「8筒」「1索」の3種類の牌が暗刻になるので、三暗刻の条件も満たします。
下の牌姿では、副露面子が刻子ではない時点で対々和の成立条件を満たしていませんが、「1萬」をツモることで「1萬」「7萬」「白」の3種類の牌が暗刻になるので、三暗刻の条件は満たします。
面前で進めると四暗刻になる可能性がある
三暗刻は鳴いても成立する役ですが、もちろん面前でテンパイすることも可能です。
三暗刻を面前で進めてテンパったときの牌姿の例としては、以下のような形が挙げられます。
上の牌姿では、「4萬」「5萬」「8索」の3種類の牌がすでに暗刻になっているので、三暗刻の条件を満たしています。
アガり牌である「1筒」「3筒」は、ツモでもロンでもアガることが可能です。
ここで、「1筒」「3筒」のいずれかをツモったケースを考えると、すでに暗刻になっている3種類の牌と合わせて、4種類の牌が暗刻になることがわかります。
そのため、上の牌姿でツモアガりすると、役満の一種である「四暗刻」でのアガりになります。
とくに初心者の方は、役満のような難しい役の成立条件を把握していないことが多いですが、「役満をアガったことに気が付かなかった」なんてことのないように、十分注意しましょう。
麻雀で三暗刻（サンアンコウ）が発生する確率
麻雀で三暗刻が発生する確率は、0.7%～0.8%程度といわれています。
数字の上では125～140回程度対局すれば1回はアガれる程度の出現率であり、2翻役の中では高くもなく低くもない出現率です。
2翻役は打点と難易度のバランスから、高打点が必要なときに狙うことが多いです。
三暗刻自体は2翻ですが、後述するようにほかの役と複合することで満貫やハネ満、それ以上の打点を狙うこともできます。
高打点を狙うときに意識すべき役のひとつとして、覚えておきましょう。
麻雀の三暗刻（サンアンコウ）と複合しやすい役
三暗刻は「3つの暗刻を作る」という成立条件から、刻子形の手をはじめとした多くの役と複合しやすいです。
三暗刻と複合しやすい役を、以下で紹介します。
役牌
役牌は刻子にすることで役が付く字牌で、「東・南・西・北」の「風牌」と、「白・発・中」の「三元牌」があります。
三元牌は常に役になりますが、風牌は「場」と「家」で役になるかどうかが決まり、たとえば「南場の西家」の場合、場風が「南」で自風が「西」です。
上の牌姿の待ちは「3萬」と「発」で、「発」をツモれば三暗刻と役牌の「発」が複合します。
「発」をロンアガりした場合は、役牌の「発」は認められますが、三暗刻は成就しません。
役牌の刻子は基本的に1翻ですが、風牌は「南場の南家」にとっての「南」のように、場風と自風が重複する場合は2翻です。
タンヤオ
タンヤオは、字牌と1,9の数牌を除いた2～8の数牌のみで手牌を構成することで成就する1翻役で、鳴いても成就します(1翻なので食い下がりはなし)。
上の牌姿の待ちは「2萬」と「7索」で、どちらでアガってもタンヤオが成就し、ツモった場合は三暗刻とタンヤオが複合します。
対々和
対々和は、手牌の4組の面子をすべて刻子でそろえることで成就する2翻役です。
鳴いても成就し、食い下がりはありません。
上の牌姿の待ちは「9筒」と「1索」で、どちらでアガっても対々和が成就し、いずれかをツモることで三暗刻と対々和が複合します。
混老頭
混老頭は、手牌を萬子・筒子・索子の1,9牌と字牌、いわゆる「ヤオチュー牌」のみで構成することで成就する2翻役です。
鳴いても成就し、食い下がりはありません。
上の牌姿の待ちは「9筒」と「1索」で、どちらでアガっても混老頭が成就し、いずれかをツモることで三暗刻と混老頭が複合します。
三色同刻
三色同刻は、「萬子」「筒子」「索子」のそれぞれで「同じ数の刻子」を揃えることで成就する2翻役で、鳴いても成就し、食い下がりはありません。
上の牌姿の待ちは「2萬」と「6萬」ですが、アガり牌やアガり方によって、成就する役および点数が大きく異なります。
「2萬」と「6萬」のどちらでアガったか、およびツモかロンかによる点数の違いは、以下のとおりです。
- 「2萬」をロンアガり：対々和、三色同刻→4翻(満貫)
- 「2萬」をツモアガり：三暗刻、対々和、三色同刻→6翻(ハネ満)
- 「6萬」をロンアガり：対々和→2翻(2,600点)
- 「6萬」をツモアガり：三暗刻、対々和→4翻(満貫)
麻雀の三暗刻（サンアンコウ）を狙う際の注意点
三暗刻は比較的狙いやすい2翻役ですが、面前と鳴きのどちらでも成就することが、かえって理解をややこしくさせる原因になるかもしれません。
麻雀の三暗刻を狙う際の注意点を、以下で説明しましょう。
鳴くとロンでは役が成立しない場合がある
三暗刻は鳴いても手を進められる役ですが、鳴き方によっては役が成就しなくなる場合があります。
たとえば、以下の牌姿を見てください。
この牌姿の待ちは「1萬」「8筒」で、どちらかをツモることによって、「7萬」「3筒」の暗刻と合わせて暗刻が3つできるので、三暗刻が成就します。
しかし、「1萬」「8筒」をロンでアガろうとすると、暗刻が2種類だけになってしまい、三暗刻が成就しません。
副露の部分が順子のため対々和にもならないので、こういった牌姿ではツモでしかアガることができません。
テンパイ形によっては三暗刻が確定しない場合がある
テンパイ形によっては、アガるまで三暗刻が確定しない場合があります。
たとえば、以下の牌姿を見てください。
上の牌姿の待ちは「6-9筒、8筒」ですが、どの牌でアガるかによって筒子部分の構成が変わります。
「8筒」でアガると、筒子は「7-7-7」「8-8」の形になり「7筒」の暗刻ができるので、「6萬」「北」の暗刻と合わせて三暗刻が成就します。
しかし、「6-9筒」でアガると筒子は「(6)-7-8-(9)」「7-7」の形になって暗刻ができないので、三暗刻は成就しません。
上の牌姿では北家なら役牌があるので安心ですが、北家以外だと「8筒」以外の牌は役なしなので、リーチなしではアガれない点に注意が必要です。
鳴くか面前で進めるかの判断が難しい場合がある
三暗刻は面前でも鳴いても成就する役であるがゆえに、面前で進めるか鳴くかの判断が難しい場合があります。
たとえば、南場の西家で開局から数巡経ったあとに白が場に1枚も出ていない状態で、以下の牌姿を考えてみましょう。
この牌姿で、「カン2萬」の部分はネックと考えられるので、上家から切られたときにチーする選択肢は十分考えられます。
ただし、「2萬」をチーした後で役ありテンパイに取ろうと思うと、「4筒」を切って以下のような牌姿にしなければなりません。
この牌姿は、「白」ならロンでアガることができますが、「3筒」はツモらなければ三暗刻になりません。
「開局から数巡経ったあとに白が場に1枚も出ていない」ということは、「白」は「他家が対子でもっている」もしくは「残り2枚とも山にいる」可能性が高いです。
後者であれば比較的高い確率でアガれそうですが、前者の場合は逆に「白」でのアガりは絶望的です。
「白」でのアガりが望めなさそうな場合は、「3筒」をツモれるかどうかが焦点になります。
ただし、「3」という数牌は手牌で使われやすい牌なので、自力でツモれるかどうかと聞かれると、可能性はあまり高くないはずです。
つまり、先ほどの牌姿は「カン2萬」がネックではありますが、その部分を鳴いた場合のアガりの可能性は「白が山にいるかどうか」に大きく依存します。
そのため、形式テンパイではなくアガり切ることを考えた場合、「カン2萬」はネックではあるものの、鳴かないほうがベターな判断といえそうです。
こういった判断は経験を重ねることで精度が上がっていくものなので、初心者の頃はいろいろな形で鳴きを試してみて、経験値を増やしていきましょう。
麻雀の三暗刻（サンアンコウ）を狙ってみてもよい場面
三暗刻は出現率が特別高い役ではないので、あらゆる牌姿で狙うべき役ではありません。
麻雀の三暗刻を狙ってみてもよい場面を、以下で説明します。
高打点が必要なとき
三暗刻は手牌で暗刻を3つ作る役なので、ドラが絡む場合は複数枚になることが多いです。
また、対々和や混老頭などの役とも複合しやすいことから、高打点になるルートがいくつもあります。
鳴かずに面前で進めれば役満の四暗刻になる可能性もあるため、高打点の手をアガって逆転を狙いたいときにはうってつけの役といえるでしょう。
役牌対子などの保険があるとき
三暗刻は鳴いて手を進めることもできますが、鳴き方や残った牌姿によっては三暗刻が成就しないケースも多々あります。
麻雀の役は鳴いてしまうと認められないものも多いので、鳴きで手を進めて三暗刻が成就しなかった場合でも、逃げ道になるような保険の役があると安心です。
保険になりやすい役のひとつとしては、役牌が挙げられます。
役牌は刻子にさえしてしまえば役が確定するので、役牌対子の状態であれば三暗刻を狙いやすいでしょう。
上の牌姿は遠くに三暗刻や対々和などが見えますが、万が一それらが成就しなかったとしても、「発」さえなければ少なくとも1つの役が確定するので、安心して手を進められます。
手牌が「萬子」「筒子」「索子」のいずれかに偏っている場合は、混一色や清一色などを保険にできるケースも考えられます。
三暗刻（サンアンコウ）は四暗刻も狙える2翻役！成立条件を把握して麻雀で狙ってみよう
三暗刻は、手牌で暗刻を3つ作ることで成就する2翻役で、鳴いても成就し、食い下がりはありません。
鳴いて手を進めるケースが多いですが、最後まで鳴かずに手を進めれば、役満の四暗刻でのアガりになる可能性もあります。
対々和や混老頭などの2翻役と複合しやすいですし、ドラを使う場合は複数枚になりやすいことから、高打点が必要なときには重宝する役です。
あらゆる牌姿から狙える役ではありませんが、対子や暗刻が多めの牌姿をもらったときは、ぜひ狙ってみましょう。
